石原慎太郎、三浦瑠麗という言葉が軽すぎる人たち【適菜収】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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石原慎太郎、三浦瑠麗という言葉が軽すぎる人たち【適菜収】

【隔週連載】だから何度も言ったのに 第11回

石原慎太郎氏の公私混同ぶりは甚だしい。都知事時代に四男延啓氏を都の芸術振興事業に関連して外部委員に委嘱したり、公費でヨーロッパに出張した際に、延啓氏を同行させていたり。世間の非難を浴びても開き直った。「公」の意識に欠け「私」しかなかった。まさに保守の対極である。

 

■石原慎太郎とは何者だったのか

 

 作家の石原慎太郎が亡くなった。享年89。中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報(電子版)は、「右翼の政治屋」と報じていたが、石原は右翼ではない。そもそも、石原は皇室を罵倒し続けてきた人間である。石原は戦時中、父親から皇居に向かって頭を下げろと言われ、姿も見えないのに遠くからお辞儀する人々を見て「バカじゃないか」と思ったという。

「君が代って歌は嫌いなんだ、個人的には」

「僕、国歌歌わないもん」

「新しい国歌を作ったらいいじゃないか。好きな方、歌やあいいんだよ」

「皇室は無責任極まるものだし、日本になんの役にも立たなかった」

「それ(天皇制)は笑止だ。それは全く無意味だ」

「ぼくは天皇を最後に守るべきものと思ってないんでね」

「天皇が国家の象徴などという言い分は、もう半世紀すれば、彼が現人神だと言う言い分と同じ程笑止で理の通らぬたわごとだということになる、と言うより問題にもされなくなる、と僕は信じる」

 そこまで言っておいて、旭日大綬章をちゃっかり受け取るのが慎太郎流。

    *

 慎太郎は保守の対極にある人物だったが、なぜか「保守論壇」なるものにもてはやされた時期があった。これも戦後の知的劣化と混乱の結果。さすがに三島由紀夫は石原の正体を見抜いていた。「氏は本当に走っているというよりは、半ばすべっているのである」(「石原慎太郎氏」)

    *

 慎太郎は三島に自分が何を壊そうとしているかをはっきり述べている。それは皇室だ。

石原「三島さん、変な質問をしますけど、日本では共和制はあり得ないですか」

三島「あり得ないって、そうさしてはいけないでしょ。あなたが共和制を主張したら、おれはあなたを殺す」

    *

 慎太郎の政治に対する見識のなさは群を抜いていた。橋下については「僕は橋下君を首相にしたい」。安倍については「私は久しぶりに立派な総理大臣が出てきたと思ってかれに期待もしています」。森友問題に関しては「つまらないマイナーな問題」「(安倍は)笑い飛ばせばよかった」。公文書は国家の根幹である。要するに、慎太郎には国家という意識がない。なんでこんなすっとこどっこいを賞賛しているやつがいるのかねえ?

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 慎太郎は昔から言葉が軽い人間。「TPPは米国の策略。賛成派は頭を冷やせ」と言っておきながら「原則的に(TPPに)賛成だ」と180度判断を翻す。三島の死後、運動音痴などとネチネチと罵倒の言葉を投げつける一方で、都合がいいときだけ自分との親密な関係をアピールした。

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 いつも非常識な事ばかり言っている連中が「人が亡くなったら批判しないのが常識」とか言い出した。死んだという理由だけで、無暗に人を美化してはいけない。それは美徳ではなく、悪徳である。慎太郎は以前「人から愛されて死にたいね」と言っていたが心配ない。「改革気分」に汚染された大衆は、慎太郎的なものが大好きなんですよ。

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 慎太郎には4人の息子がいた。親バカだったとの報道もあるが、親バカというよりバカ親だよね。石原慎太郎式スパルタ教育が失敗だったことを、身をもって証明してくれた4兄弟に感謝。

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 安倍が「歴史戦」とか言い出したらしい。どこかで聞きかじったのだろうけど、ポツダム宣言と原爆投下の時系列を理解していない時点で、最初から負けているよね。バカなんだから黙っていればいいのに。

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 磁気健康器具の販売預託商法で顧客から現金をだまし取ったとして詐欺罪に問われたジャパンライフの元会長、山口隆祥被告に対し、東京地裁は懲役8年(求刑・懲役10年)の実刑判決を言い渡した。メディアはジャパンライフの「広告塔」だった安倍にも感想を聞きに行くべき。なお、「桜を見る会」には安倍に近い統一教会の関連政治団体・世界戦略総合研究所の事務局次長や反社会勢力のメンバー、半グレ組織のトップらと共に、ジャパンライフ」の会長(当時)も招かれていた。

   *

 2019年7月の参院選広島選挙区の大規模買収事件で、河井克行元法相らから現金を受け取ったものの、公選法違反(被買収)罪で不起訴処分になった地方議員や後援会員ら計100人について、東京第6検察審査会は広島県議や広島市議、後援会員ら35人を起訴すべきだとする「起訴相当」の議決をした。今後、「辞職ドミノ」が起きることも想定される。この件についても、メディアは安倍に感想を聞きに行くべきだ。

 

文:適菜収

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適菜 収

てきな おさむ

1975年山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』、『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?」(以上、講談社+α新書)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志との共著『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』、『遅読術』、『安倍でもわかる政治思想入門』、『日本をダメにした新B層の研究』(KKベストセラーズ)、『ニッポンを蝕む全体主義』『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)など著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も好評。https://foomii.com/00171

 

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